「幸福への探求」に関しての覚書 【第4回:現代の不安をどう克服するか(3)】

【第4回:現代の不安をどう克服するか(3)】

 

 此処で一つだけ不安の事例を挙げて見ましょう。 

 

 不安の中に身を置く神経症乃至神経症的病弱型の人間は、幼い時に体験した心の傷、生命の危機感が潜在意識に沈下して、常に心の奥から湧き上がる情動によって行動が支えられ、それを理性で抑えようとして感情と理性の間の軋轢により、生命エネルギーを消耗し、疲労し、人を信じられず何時も内心は孤独である。そして其の反動として自分の気に入った他人にはべったりで、考え方も否定的なものを持っている。心の表面では幸せや・健康を願いながら、心の奥所謂、潜在意識では不幸や病気を愛し、そして自分を悲劇のヒーローやヒロインにしておきたいと心から願い、故に皆から同情される資格があるとして、其処に留まり、其処に安全感、他人との温かい関係を作ろうとするところに倒錯があるのです。

 表面は他人を大切にしているように見えて僕のように扱い、其の関係が崩れようものなら安全感はたちまち崩壊、依存したい欲求は阻止され、今まで潜めていた攻撃したい欲求が頭をもたげ、謂れの無い非難や、恨み言や、憎しみを募らせ自らを省みないのである。そして周囲のものを戸惑わせるのです。

 これが「他人に騙される以前に、自分に騙される」ということです。

 

 だからこそ私達は自分自身の姿を真正面から観て、其の真実を直視し、自分自身を常により良い方向へ変革することが緊要時なのです。そして今までそれを疎かにしてきたのです。

 

 先生は「絶望してはいけない」とおっしゃっておられます。今からでも遅くありません。

「心の自然法則」を学ぶことは自分の現実を知り、真に理解するための学びなのです。 

 

 不安の中に身を置く人々の中で、自殺未遂の人は、自らの価値を弱小と捉え、生きる希望を失った人々であり、引きこもりの人は、人を信じられず、自らの内部に安全感を求めた人達である。

そして、其の背後に、先に先生が述べられているように、深刻な生命の危機感が存在するのです。

 

  • この解決には外部の調整では役に立たず、自らの内部での調整に求めなければならないのです。そして、その激しい情動を何とかして破壊ではなく建設の方向に向けなければならないのです。

  その解決法を「幸福への探求」は教示しているのです。

 

 不安は生命エネルギーを無駄に消耗し、自らを破壊する源泉。キルケゴールがいうように動物は盲目的意志によって不安は無いと、また天使は恭敬を旨として不安は無いと、人間は動物と天使の間の自由意志を持つ有限な精神的存在として不安が存在すると。先生がおっしゃっておられる宿命としての重荷なのである。この不安を止揚して自らの成長の糧にしたいものです。

 

 次回は、不安に続いて、現代人の心を捉えて離さない劣等感について見て行きましょう。

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